伊豆松崎の古代米焼酎と磯の香り鍋
「百笑一喜」「弁天鍋」
海と山のうまいもんと温泉に恵まれた伊豆半島。 伊勢えびに代表されるイキのいい刺し身に極上のアジの干物、キンメの煮付けに山葵の茎の醤油漬、猪料理に鮎、変わったところではズガニやタカアシガニもある。 私めのうまいもん紀行、第一回目は伊豆半島からご紹介しよう。
4月の伊豆は、春まっさかり。 今回とりあげる西伊豆・松崎の那賀川をはじめ、東伊豆の伊豆高原、下田の本郷公園など桜の名所がいくつもある。 ことに松崎の那賀川沿いの桜並木は圧巻だ。 菜の花の黄色と白い花びらと清流がみごとに調和して、ひとつの舞台を見ているかのような華やかさ。 ライトアップされる夜桜も幻想的だ。 桜が終わると、バラが見頃となる。 伊豆急河津駅からバスで7分ほどの「河津バガテル公園」はバラの名所。パリから運んだ約1100種、6000本ほどのバラが植栽され、5~6月は白色のつるバラが美しい。
アルコール分25%の本格焼酎
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その河津から、伊豆急行線で2つ目、蓮台寺駅から特急バスに乗ると50分ほどで松崎に着く。 昔から西伊豆の中心地だったところで、なまこ壁の堂々たる商家や、 伊豆最古の歴史を誇る明治13年開校の岩科学校(国の重要文化財)、 そして漆喰細工の名人とうたわれた左官職人・伊豆の長八の作品を展示する美術館などがある。 この松崎で、最近とみに話題となっているのが「百笑一喜」なるアルコール分25%、無色透明の本格焼酎。 ネーミングもユニークだが、原料が、なんと古代米の「黒米」なのである。 |
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「町の石部地区に復元した棚田があり、そこで収穫した黒米を使って数年がかりで商品開発したのが百笑一喜です」とは、 地元商工会の鈴木基事務局長。 初めて売り出した2006年度は限定6,000本が約1ヶ月半で売り切れたというから、たいしたもの。 早速飲んでみると苦味やヘンなクセがなく、香り、味ともまろやかで米の甘みが感じられる。 これが本当に米焼酎か?と思うほどの飲みやすさ。ぐいぐいいける。 |
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町内に酒造会社はないので、製造は静岡県芝川町の富士錦酒蔵が行なった。 「黒米と酒造米、それに米麹で仕込みました。通常使用するのはうるち米ですが、 黒米はもち米だから製造自体が難しかったですね」と、富士錦酒蔵の清信一社長。 そのため、黒米焼酎用に最新型の減圧式蒸留器を導入したそうだ。 |
ちなみに、この6月からは棚田で収穫された「赤米」を使ったよりマイルドな焼酎も開発され、 今年からは「黒」と「赤」の揃いぶみとなる。 先日、「赤」の試作品を飲んだが、水割りではもったいないうまさ。ロックかストレートでぜひお試しあれ。
磯の香りをそのまま味わう
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うまい焼酎とくれば、うまい肴。個人的には山葵の茎の醤油漬と干物があればいいのだが、それではちょっと寂しい。 というわけでおすすめするのが、町内にある国民宿舎「伊豆まつざき荘」の名物料理「弁天鍋」。 伊勢えびを筆頭にワタリガニ、サザエ、トコブシ、シッタカ、それにひじきとわかめが入った味噌仕立ての鍋料理である。 野菜類はいっさいなし。つまり、えびと貝類と海藻のみの、いたって豪快にしてシンプルな一品なのだ。 |
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したがって、ひとくちスープをすするたびに磯の香りが口中に広がり、なんとも食欲、いや、飲み欲がそそられる。 伊勢えびの味噌汁はよくあるが、さらにそこに貝と海藻が加わることで、絶妙なうまさが倍増するのである。 ああ、書いているうちに、また食べたくなってしまった。
■百笑一喜
価格:「黒」「赤」ともに1,260円(720ml)
伊豆地域の酒小売店や観光土産物店のほか、都内では、むらからまちから館(有楽町)、スーパーあおき東京店(江東区)で販売されている。
問合せ:松崎町商工会
〒410-3624 静岡県賀茂郡松崎町江奈231-2
TEL0558-42-0470(9~17時・土日祝日除く)
■ 弁天鍋
価格:2人前 3,500円
問合せ:国民宿舎「伊豆まつざき荘」
TEL0558-42-0450
木村小左郎プロフィール
1950年東京都出身。旅と料理を中心とした世界各国の紀行文、コラムなどを独自の視点で執筆する旅コラムニスト。 |
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